～狂恋～夫は妻を囲う

｢ダメだよ！食材もダメになったから、コイツ等に弁償させないといけないし、いろちゃんに触った手も消さないと……！｣
｢え……消すって……｣
｢だって、俺のいろちゃんに触ったんだよ？
そんな手、いらないよね？
いろちゃんに触れていいのは、世界中で俺だけなんだよ！｣

何を言っているんだろう。
彩羽は恐ろしさと、わけのわからなさでただ…魁聖を見ていた。

数分後、洋武が左右兄弟をつけて駆けつけてきた。
｢洋武！こっち！
いろちゃん、車乗ってて！俺は洋武と話があるから｣
｢え？嫌だよ！一緒に行こ？｣
彩羽が魁聖の服を掴み、すがりついた。
｢大丈夫。すぐ行くよ？
左右！頼む！｣
頭をポンポンと撫でて、左右兄弟に引き渡した。

｢彩羽ちゃん、先に言って待ってようね！｣
｢彩羽、行こ｣
｢うん…｣
車に乗り込んだ。

｢左依くん、右京くん、魁聖…あの人達を殺したりしないよね！？｣
｢俺達は何とも言えない…ごめんね……｣
｢彩羽…魁の気持ち、わかってあげて。
彩羽のこと、大好きなだけなんだ｣
｢……うん…｣

｢━━━━てことで、全部弁償しろ！？｣
｢は？でも、これはお前が……｣
｢あ？お前の仲間が彩羽に触ったからだろ！？
せっかく、冷しゃぶ作ってくれるって彩羽が言ってたのに、これじゃ作れねぇじゃん！
しかも、久しぶりのデート楽しんでたのに台無しだ！｣
｢魁聖、これはどうする？｣
洋武が先程頭を踏みつけていた男を指差した。

｢手…消さないと！
いつもの場所に連れていってて？
後から行く。まずは彩羽を安全な家に帰さないと……！｣