~狂恋~夫は妻を囲う
「フフ…でも、面倒くせぇんだよな…」
「魁聖」
「あ?」
「お前は普通じゃない」
「うん、わかってるよ」

「でも“彩羽”は普通の女だ」

「は━━━━?」
「ちょっ……アニキ、やめて!!
魁聖くんに彩羽ちゃん絡みのそんな言葉━━━━」

ゴッ━━━━━!!!
一瞬で魁聖は、洋武の首を持ち窓に押しつけていた。

「もういっぺん、言えよ……!?
今……なんて……?」
「うぅ…ぁ…」
「洋武~彩羽が何だって?
俺が普通じゃなくて、彩羽は普通……
それ、おかしいよね?
俺と彩羽はいつも一緒。
俺が“黒”なら、彩羽も“黒”
俺が“異常”なら、彩羽も“異常”なんだよ?
おかしいなぁ。
洋武は賢い男だから、わかってるはずなのに……
それとも賢い男じゃないの?
だから、そんなバカげたこと言ったの?
……………洋武、賢くない男はいらないよ?
言ったよね?役立たずはいらない。
消えて?」
そのまま首を絞めだした魁聖。

「魁聖くん!!!やめて!お願い!!」
「魁!」
左右兄弟が止めに入る。

「……っあぁ…ゲホッ!ゲホッ……ゴホッ!」
解放された洋武。
「…………一回だけ…
次はない……」
それだけ呟き、車を降りた魁聖だった。

「はぁはぁはぁはぁ……」
「アニキ!?大丈夫!?」
「はぁはぁ……あぁ…二人とも、ありが、と……」
「なんで、あんなこと言ったの?魁がキレるに決まってる」

「俺は……やっぱり…彩羽が好きだ。
彩羽を解放してやりたい。魁聖っていう死神から━━━」
< 23 / 53 >

この作品をシェア

pagetop