図書室の彼の溺愛
「うん…………あ!」

「お久しぶりです、先輩!」

「奏芽、部活は?」
柊の声のトーンが少し下がる

「休みです!なので、本を借りようと思いまして」

「そっか!……私のおすすめは――だよ!」

「へぇ!読んでみますね」

「うん!本当に面白いんだよ!」

「……………」
え?何か柊がご機嫌斜め?

「どうしたの?柊、元気ない?」

「いや、元気だよ」
声が元気じゃないのに…

「柊先輩、さっき嬉々が呼んでました、行ってあげてくれませんか?」

「行かなくて良いかな?」

「………柊…行ってあげたら?」
本当は嫌だけど、口から本心ではない言葉が出てしまった

「……分かった…奏芽、楓に何もするなよ?」

さらにワントーン下がった柊の声に奏芽くんがかすかに身震いをしたのが分かった
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