LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~

「川邊専務が、知ってる人の中で斗希が一番変な奴だって言ってたけど。
本当だね」



"ーーあいつは、俺が知ってる中でも一番スゲェ変な奴だからなーー"


テトラポッドの縁ギリギリに立ち、海面を覗いて見ている斗希を見ていて、
その言葉を思い出した。


「え?篤がそう言ってたの?
俺、あいつの周りに居る人間の中で、一番まともだし。
常識人だと思うけど」


私も、初めはこの人の事をそう思っていたけど。


徐々に、斗希が変わった人なのだと気付いた。


「川邊専務の野性的な勘なんじゃない?
斗希は、ちょっとおかしいって。
ちょっとじゃなく、けっこうか」


「野性的な、か」


川邊専務の顔でも思い浮かべているのか、
嬉しそうに笑う、斗希。



「前から思ってたけど、
斗希って、川邊専務の事大好きだよね?」



私も親友の可奈が大好きだから、
その斗希の気持ちは分かる。


けど、斗希のそれは、私のそれ以上にも見える。


小さな頃から斗希は川邊専務と仲良しみたいだから、
もう兄弟みたいなものなのか?



「俺の篤に対する友情って、異常だと思わない?」


そう訊く斗希は、一体私にどんな答えを求めているのか?と考えてしまう。


肯定して欲しいのか、否定して欲しいのか。


それ以前に、そう訊く斗希は、
自分のそれを異常なのだと思っているのか?

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