LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
寧々と瑛太
店に入ると、キッチンに居る瑛太と、目が合った。


軽く会釈すると、


「瑛太さんの知り合いですか?
では、こちらに」


ウェイターの若い男の子が、私をカウンター席に案内した。


「久しぶり。
何する?」


ウェイターの男の子ではなく、カウンター越しに直接瑛太が訊いて来る。



「マルゲリータ」


斗希さんが、特にそれがオススメだと言っていた。


「了解」


今日は水曜日の夕方。


まだ夕食には時間が早いからか、お客さんは私だけ。


この店のディナー営業が始まったばかりの、17時過ぎ。


「今日は、仕事は?」


「え、今日は、有休で。
今日、娘の幼稚園が参観で」


そして、同居している母に娘を預けて、この店に来た。


斗希さんと高杉君に言われていたから。


一度、瑛太の経営するイタリアンのお店に行ってあげて、と。


「篤さんから寧々の事はちょっと聞いてるけど、
親権取り返せて良かったよな?」


その瑛太の笑顔に、ホッとしたように私も笑う。


私、この店に来てから、緊張していたから。

それは、斗希さんや高杉さんから聞いた事が原因かも。

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