LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「後、金銭的な事は…。
家賃や光熱費の支払いは、今まで通り俺でいいから」


「いや。それはいくらか私も払う。
このマンションの家賃は…。正直折半はキツイというか、払えないけど」


ここのマンションの家賃、夕べネットで違う空き部屋を検索したが、
月に23万円だった。


「だろうね。けど、ベリトイならまずまず給料良さそうだけど。
年収いくら?」


そう訊かれるが、夫婦だし答えてもいいだろう。


私のその給料をあてにするとかは、この人はないだろうし。



「額面でちょうど300くらい」


「なら、手取りで月に20万ちょいくらいか。
折半でも、キツイけど無理ではなくない?」


その言葉に、うっ、と詰まる。



「―――母親に、月に10万返しているから、無理」


言いたくなかったけど。


「母親に借金でもしてるの?」


「そうなるのかな?
今まで私を育てるのに、沢山のお金が掛かったから、それを返せって。
大学に進学する際に、それを約束したの。
大学行かせてあげるから、就職したら月に10万ずつ母親に返済するって」


「それは、いつまで?」


「え?」


いつまで、って。


いつまでなのだろうか?


それは、いつまでとかではなくて、ずっと続くのではないだろうか?


私が、生きてる限り。



「じゃあ、月に5万貰おうかな。
家賃だけじゃなく光熱費もそこに含んで構わないから。
さっきも言ったけど、大半の夕食は自分でなんとかして。
昼食も」


「あ、はい…」


5万円なら、今迄の寮の家賃と変わらないから、問題ない。



「あ、そうそう。
結衣には鍵渡しておかないと」


そう言われて、思い出した。


鍵を貰おうと、斗希の姿を探してこちらに来たのだと。



「じゃあ、食べてから貰っていい?」


「分かった」



そう言って、斗希はテーブルの上のICレコーダーの録音を止めた。


朝食兼話し合いは、とりあえず終了したみたい。
< 72 / 288 >

この作品をシェア

pagetop