私は1人じゃない



「杏衣ちゃん、大丈夫?」



早坂先生が部屋を去ると私に近づいて心配そうな目で私を見る。


「まだ体は痛いけど大丈夫…」
「傷とショックが酷くて全然目が覚めないから本当に心配した………でも元気ならよかった………」



「勇斗さん、迷惑かけてごめん……それとありがとう………」
「俺は何もしてないよ、杏衣ちゃんが1番頑張ったんだよ」



早坂先生に勇斗さんに、1つ1つの言葉が私の心に刺さって涙腺が緩んでくる。


勇斗さんは私を見てくれてる。


優しさで包んでくれて、今の私を受け止めてくれている。


それがすごい嬉しい。


「勇斗さん……」
「どうしたの、杏衣ちゃん」


人生で初めて人に抱きついた。


私にとってはとても思い切った行動だと思う。


ママや友達ではなく、異性に。


しかも先生に。


「今はこうしたいんです……もう耐えたくない、もう私は十分に傷んだから……もう癒やされたい………」


私の本音。


勇斗さんには頑張らなくても自然に言える。


勇斗さんは私の身体を離して私の目を見る。


やっぱり大きくて淀みのない純粋そうな目をしている。


「もうどこにも行かないで、俺のそばに居て、杏衣ちゃんが俺の家にいないの寂しいんだ」


勇斗さんからその言葉を聞けたことが嬉しくて我慢してた涙が出る。



背中にある手は優しいけど私の頭に置いてる手は少し強い。


でもそれで勇斗さんの鼓動が聞こえるからいい。


勇斗さんの鼓動が早い。


緊張しているのかな。


でも私はずっとこのままいたい。


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