私は1人じゃない



外で待っている間、タイミング良く、いや、タイミング悪く雅紀が来た。



「今日退院だよね?」
「そうだよ、今着替えてるから入るなよ」


「入って見たいと思ってるだろ」
「それそのままお前に返すし、ナースに聞こえてたらどうするんだよ」


「ナースには、優しくて親切な医者だと思われてるからなあ〜〜」
「はぁー、お前の裏を言いたくなるよ」


雅紀は優しいのは事実。


でもオタクっぽい気質で、何か自分の好きなのにハマるとずっとそれだけを追って、「ぐふふ」「ヌフフ」みたいに気持ち悪い感じで妄想したりする。


ちょっと変な変態で少しストーカー気質もある。


でも実際女性とかをストーカーしてない、俺よりも純愛をしてきた。
(ここは強く強調しとく。)


「でも杏衣ちゃんには手出す気ないから」
「当たり前だ出したらいくら雅紀でも殴る」


「おお、勇斗怖くなってる、やっぱりすk………」
「聞こえるからやめろ、少し医師らしく立ってろ」


「はーい、俺はずっと応援するよ」
「余計なお世話」


「少し素直になれよ、好きなら好き、迷うことないだろ」


大人になると好きって感情だけで恋愛できるとは限らない。


好きだから突っ走って告白なんてできない。


しかも杏衣ちゃんになんてなおさら。


傷付けたくない、守りたい。


それが俺が近づかないで出来るなら気持ちを捨てるまで。


でも杏衣ちゃんがそばに居て欲しいという気持ちもあるし………。


杏衣ちゃんが入院してる間本当に授業に身が入らなかった。


好きって気持ちはこんなにも人惑わせる。

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