私は1人じゃない




目の前にいるのは本当に勇斗さんなのかな。


普段の穏やかな感じより大人の色気に大人の男って感じが出まくってる。


髪がサラサラだからなのか、バニラの匂いのせいなのか分からないけど、


今の勇斗さんは普段の勇斗さんじゃない。


私を惹きつける何かを持ってる。


そして私はそれに抵抗できない………。


「はい……」
「ん、いい子」


「杏衣ちゃん、今日一緒に寝る?」


爆弾発言。


自分が恋をしたという事実を受け止めているだけでドキドキが止まらなくて頭を冷やしたいのに、一緒に寝たら私は寝られないどころか心臓の熱中症で発作が起きそうなレベル。


今まで勇斗さんがそんなことを言ったことは1度もないのに、やっぱり今日の勇斗さんは何かおかしい。



「いきなりどうしたの……」
「杏衣ちゃんと離れたくないって思っちゃうんだよね」


「同じ屋根の下にいるよ?」
「それじゃ離れてる」



今日1日で心臓はバクバク行きすぎている。


本当に冷やさないと明日から普通に過ごせるかさえ危うい。


「勇斗さん、今日は1人で寝たい………」
「俺が嫌だ?」


「いやとかじゃなくて……緊張するし………」
「そっか、杏衣ちゃんがそう言うならしょうがないね」


やっと勇斗さんは離れてくれたけど、頭の中は勇斗さんが離れなかった。
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