私は1人じゃない




深呼吸をしてからチャイムを押す。


なんで生徒の部屋に入るのに緊張するんだよ。


教師として聞くんだから何もやましいことはない。


「なに?」


部屋から出てきたのは水樹。


「水樹に聞きたいことがあるんだけど」
「なんすか」



「霧野さんに何かあったのか、びしょ濡れ姿を見たから先生として知らないわけにはいかないから」



水樹は眉をしかめて、


「……関係ねえ」
「関係ないってことはないだろ、何か事件でも巻き込まれたわけではない?」


「事件じゃねえ、杏衣はもう大丈夫だから心配しなくていい」


水樹がドアを閉めようとするのを足で止める。

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