私は1人じゃない
来たのは、グラウンドの後ろにある大きな木の下。
日陰になっているしここで話すと誰もどこかに隠れて聞くことができない。
風雅さんはもしかしてそこまで考えてくれたのかな。
だとしたら少し嬉しい。
「告白したことは後悔していないし、振られたこともちょっとはショックだったけどもう大丈夫」
通る声でハッキリと言い切った風雅さん。
「そうなんですか」
「それと俺の周りにいる女子には杏衣に危害を与えないように、変なことをするなと言っておいたから安心して欲しい、これを言いに来た」
不良ぽい顔をしているけど結構優しいところある。
というか本当に不良かさえ知らない。
喋ってた時はたわいもない話だった気がする。
趣味とか近くにあるカフェの話とか。
だから風雅さんのことを私は何も知らない。
「ありがとうございます、でも1つ聞きたいことがあります」
「なに?」
「風雅さんの周りにいる人はみんな風雅さんのことが好きなんですか?」
「そうかもしれないけどそうじゃないかも」
「え、どういう…」
「星嵐って知ってる?」
「知らないです」
「暴走族の名前。俺その総長。」