8月25日(前編)
廊下に出ると「英語の教科書貸して」と言われた。

「また?」

これももう何回目だろうか?

完璧主義者の朝陽が忘れ物をするなんて絶対おかしい。


「最近うっかり気味でさ」

と答える朝陽を横目に、ロッカーから教科書を取り出して渡した。

「サンキュ」


それだけ言うと教室に戻って行く。

朝陽の背中を見送っていると「夏目さん」と背後から名前を呼ばれた。


振り向くと2人の女子が笑顔で立っていたけど…

なんか嫌な予感がする。


だってこの2人は朝陽に気がある2人だから。
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