8月25日(前編)

テディベア

それから月日は流れ、あっという間に冬休みに入った。

水樹くんとは体育祭を最後に口をきくこともなくなっていた。


そんな刺激のない毎日に変化をくれたのは千波だった。

『紗良、一緒にバイトしない?』

始まりはこの言葉からだった。


最初はわたしなんかが…と思っていたけど、千波の無理矢理感に負け、ダメ元で受けた面接がすんなり通ってしまい…

初めてバイトをすることに。


始めのうちは慣れない接客や仕事内容に悩んでいたけど、慣れというものはやっぱりすごいもので、始めて1ヶ月経つ頃にはそれなりに楽しめるようになっていた。

だけど、そう思わせてくれたのきっと……


「紗良ちゃん、これ5番テーブルにお願い」

「はい」
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