8月25日(前編)
「ちょっとこっち向いて座って?」

と体を和子のほうに向けられると、やや大きめのポーチが広げられ驚く。

「和子って化粧してたの?」

「これでもしてるんだよ?ナチュラルメイクってやつだから、あんまりわからないでしょ?」

「ナチュラルメイク…全然わからなかった」


和子の顔をジーっと見ると、薄っすら化粧しているような…?

でも確かに目元はキラキラしてる…!


これがナチュラルメイクなんだ…?


「紗良は何もしなくても可愛いもんね〜!わたし、紗良の顔すごく好みだよ。特にこのぱっちり二重の目!羨ましい〜」

とマジマジと見つめられるから照れてしまう。


だけど、和子だってすごく可愛いと思う。

本人は何も言わないけどチラホラと告白されているようだし、それに比べたらわたしなんて…。


「濃くすると慧くんに怒られそうだから薄くしとくね」

そう言うと慣れた手つきで化粧をしてくれた和子。
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