8月25日(前編)
水樹くんの一定の鼓動のリズムが心地良く聞こえてくるから、思わず目を閉じて耳をすませてしまう。

「もう行ったっぽいけど……もう少しこのままいてもいい?」


え……?

すると水樹くんは少し力を込めて抱きしめてきた。

もう完全に密着状態だ。


だけど、この心地良いリズムをもう少し聞いていられるんだと思うと自然と口角が上がってしまう。

「紗良ちゃんって甘い匂いがするから危険かも」

そう言うと水樹くんは離れてしまった。


甘い匂い?…

甘いお菓子は食べてないけどな。


なんて考えていると「帰ろ」と水樹くんがドアを開けた。
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