【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「紅音、またこんな所に置きっぱなしにしてるな……」

 紅音は自分のバッグをリビングに置きっぱなしにしていた。
 そして中身が飛び出してしまっていたようで、俺はそれを拾おうとバッグを傾けた。
 ーーーその時、あるものが俺の視界に飛び込んできた。 

「……え?」

 これって……。
 そこには紅音の名前がしっかりと書いてあった。【小田原紅音】と。

「母子手帳……?」
   
 なんでこんなものを、紅音が持っているんだ……?
 母子手帳を持ってるってことは……。え、紅音はもしかして……。

「妊娠……してるのか?」

 俺はイケないと思いながらも、その中身を見てしまった。

「……っ!」

 やはり、間違いないようだ。
 紅音は妊娠している。俺の子供を……。妊娠、しているんだ。

 その事実を知ってしまった俺は、戸惑った。
 紅音、お前妊娠しているのなら、なぜもっと早く言ってくれなかったんだよ……。どうして隠していたんだ……。

 現在は妊娠12周か……。
 ということは、俺がシンガポールに出張に行くと決まっていた時にはもう……。妊娠が分かっていたって、ことだよな?
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