【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 赤ちゃんの名前を一緒に考えられるのは、とても嬉しい。

「……爽太さんとこうして過ごせる日々は、わたしの宝物です。三人で早く暮らせる日が、今からとても楽しみです」

「俺もだよ」

「はい」

 赤ちゃんが産まれてからの日々は、きっと一人で大変だと思う。何もかも分からないまま、子育てをしていかなければならない。
 何かあった時にやっぱり不安になるし、一人で泣きたくなることもきっと出てくるとも思う。
 
「赤ちゃんが産まれる時にそばにいてやれないのが、申し訳ないと思う。……一人で不安の中、出産するって本当に大変だと思う。そばにいてやれない俺を、許してくれ」

 そう言われたわたしは「……いえ、わたしは一人じゃないです」と答えた。

「……え?」

「わたしには爽太さん、あなたがいます。……例え離れていても、あなたはわたしの心の中にいます。いつでも……。だから、頑張れます」

 そう言って微笑むわたしを、爽太さんはそっと抱き締めた。

「紅音……。お前は俺の宝物だ。かけがえのない存在だ、本当に」

「……ありがとうございます」

 そう言ってもらえるのは、嬉しい。
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