【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 だけどわたしたちはこの2年間、それでもお互いを思い助け合い、支え合ってきた。
 どんな時も二人で一緒だったからこそ、この思いだけは決して揺るぐことはない。
 こんなにも愛した人は、初めてなんだ。

「この子もきっと、爽太さんのこと待ってますよ」

「そうだと嬉しいけどな。 俺が父親だって言ったら、この子は分かってくれるかな」

「大丈夫ですよ。分かってますから」

 わたしのその言葉に、爽太さんは「良かった」ホッとしたような表情を見せた。

「爽太さん、わたしはこの子と二人で、あなたの帰りを待ってます。……だから、安心して行ってきてください」

 爽太さんのことを笑顔で送り出したいから、わたしは絶対泣かない。……泣いたら、爽太さんが悲しむかもしれないから。

「……紅音、ありがとう」

「わたしは爽太さんのことを、笑顔で送り出したいんです。……だから爽太さんも、笑っていてくださいね?」

 わたしはそう言うと、爽太さんは「分かった」と返事をした。

「絶対……ですからね?」

「ああ、絶対にだ」

「はい。絶対に、です」

 わたしは、笑顔で爽太さんを送り出すことを決めた。
< 194 / 208 >

この作品をシェア

pagetop