あの夏、わたしはキミに恋をした。
2年生


「大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ」

年が明け、季節もめぐり春がやってきた。

退院はできたもののいまだに通院してリハビリに励む大輝の額に汗が流れ落ちる。

その汗を持っていたタオルで拭う。

わたしもサポートしようと決めたのでなるべくリハビリに付き合うようにしているんだけど。

あんなにグラウンドを走っていた足が、普通に歩いていた足が、はじめは全く歩けなくて。

先生はずっと寝ていたから筋力も落ちてるし仕方ないといったけど。

大輝のほうがきっとショックだっただろうし、つらかったと思う。

だからわたしは大輝の前では笑顔でいることを心掛けて、影で泣いた。



「桃菜は無理して毎回こなくてもいいからな」

そんなわたしのことがわかっていたのか自分がつらいはずなのに気遣ってくれた大輝。


あれからわたしは泣くことをやめた。

リハビリの勉強をたくさんして、自分なりにできることを探した。

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