なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

守りたい大切な人

 二人でクリスマスイブを過ごして……。
 プレゼントの交換もして……。

 あれからそれぞれ入浴を済ませて
「おやすみ」
「おやすみなさい」

 僕は自分の部屋のベッドに入った。

 いい大人同士の婚約者と半年以上も同じマンションで過ごしているのに……。
 茉帆とは清い関係なままだ。
 
 いくらでもチャンスはあったとは思う。

 でも来年早々受験を控えている彼女の負担になるような事は出来ないししたくない。

 茉帆の夢を叶えてあげたい。
 今はそれだけを考えている。

 合格すれば四月から茉帆は一人で京都に行く。四年間も離れ離れの生活になる。

 寂しくないと言えば嘘になるだろう。
 茉帆もきっとそう思ってくれていると自負している。

 茉帆を心から愛している。
 彼女も同じ気持ちでいてくれると信じている。

 このまま魔法使いになるのも良いかもしれないな……。

 この歳まで無駄な恋愛に興味もなかった僕が生涯で初めて愛する人を見付けた。

 それで充分過ぎる程の幸せを感じているのだから。

 守りたい大切な人がいる。
 それはとても幸せな事なんだと思う。

 そんな事を考えながら僕は眠りに就く。

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