なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

入学試験

 そして直ぐに入学試験の日が来た。

 前日の午後には新幹線に乗って京都に向かう。

 予約していた京都のホテルに着いて部屋に入った。

 ここから大学までは車で十分もあれば着ける距離だ。
 バスでも行けるけれど念の為タクシーを予約した。時間に遅れる訳にはいかない。

 夕食もルームサービスで温かい料理を注文した。

 ゆっくりお風呂に入って明日に備える。
 髪を乾かしてバスルームを出るとスマホが鳴り出した。

 玲於奈さんからだ。
「もしもし」

「茉帆。体調はどうだ? 新幹線は疲れなかったか?」

「大丈夫ですよ。今、お風呂で寛いで出て来たところです」

「風邪ひかないように温かくしてるか?」

「玲於奈さんは心配性ですね」
フフッと笑みが溢れる。

「あれだけ頑張って勉強したんだ。絶対に大丈夫だから落ち着いて受験して来い」

「はい。ありがとうございます」

「しっかり眠るんだよ」

「はい。少し参考書を読んだら寝ます」

「ああ。良い夢を見て」

「はい。玲於奈さんの夢を見て眠ります」

「僕も茉帆が合格する正夢を見て眠るよ」

「声が聴けて良かったです。玲於奈さん色々ありがとう」

「何を他人行儀な事言ってるんだ。卒業したら結婚式だからな」

「はい。四年後に貰ってくださいね」

「婚約者なんだから当然だろ」

「玲於奈さん大好きです」

「僕は愛してるよ」

「はい。私も愛してます」
電話なら躊躇なく言えるのにな。

「嬉しいもんだな。茉帆の告白は」
玲於奈さん照れてる?

 おやすみなさいと言い合って通話を切った。


 入学試験は時間に遅れる事もなく大学に着いて落ち着いて受験する事が出来た。

< 134 / 188 >

この作品をシェア

pagetop