なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

不安な気持ち

 でも……。
 京都に来て最初の二か月は玲於奈さんから電話もラインも来ていたのに……。

 六月に入った頃から電話しても出ない。
 ラインも既読にすらならなくなった。

 もしかしたら……。
 もう私の事なんて忘れた?

 もっと素敵な女性が今、隣に居るの?

 私は玲於奈さんを忘れようと決めた。
 もう電話もラインもしない……。

 優しい笑顔を思い出して涙が零れる。

「茉帆」
と呼んでくれる声が耳に今でも残っている。

 それでも忘れよう。
 泣きながらでも忘れると決めた。


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