なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

初めての二人の食卓

「週に二回、掃除と洗濯と冷蔵庫に食材を補充してくれる田沢さんと言うおばさんが来てくれる」

「あ、はい。これからもですか?」

「そのつもりだが」

「私の洗濯物は自分で出来ますから……」

「そうか。分かった」

「はい。あぁ、今夜の食事はどうしましょうか?」

「何処かに食べに行くか?」

「あ、いえ。冷蔵庫に何かあるなら私が作りますけど」

「出来るのか?」

「材料しだいですけどね。冷蔵庫を見ても?」

「あぁ。自由にしてくれて良いから。いちいち聴かなくて良い」

「はい。えっと……。ステーキ用の牛肉がありますけど、もう食べないと賞味期限明日です」

「焼けるのか?」

「焼くだけですよ。後は、これだけあれば大丈夫です。ステーキの時はご飯ですか? パンですか?」

「どちらでも」

「パンが冷凍されてますから、これを焼いて。サラダと付け合せも出来そうです」

「じゃあ頼む。着替えて来る」

「はい。分かりました」

 ステーキソースは一流店の物があった。焼いて掛けるだけ。
 付け合せに、人参のグラッセ、マッシュポテト、青菜のソテー。
 サラダはアスパラとトマト、レタスと水菜に、これも一流ホテルのドレッシングがあった。
 パンをオーブントースターで温める。
 クリームコーンの缶詰がストッカーにあったから生クリームとコンソメと塩胡椒で味付けしてスープを作った。

「出来ましたよ」

「良い匂いがする。これ全部君が作ったのか?」

「他に誰が居るんですか?」

「いや。少し驚いただけだ」

「食器は適当に出して使わせて貰いました」

「構わない。これからも自由に使ってくれ」

「分かりました」


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