なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

合コン

 製薬会社の営業部に勤める秋川さんと出会ったのは、いわゆる合コン。

 私は数合わせに仕方なく頼まれて、顔を出したら帰るからと合コンのリーダーで美容室では一つ先輩の京香さんに確認して参加した。

 みんな猛アピールする中、名前だけしか言わなかった私に興味を持ったのか、話し掛けてくる秋川さんに適当に相槌だけうっていた。

 正直、面倒くさい。
 別に出会いなんて求めてないし……。

 他の四人の方がお洒落もメイクも気合いが入って絶対に誰かをゲットすると息巻いてたんだから……。

 私の事は放って置いて欲しいのに……。

「茉帆ちゃんっていくつ?」
そこ聴きますか?

「二十五歳です」
美容短大を卒業して何とか美容師として仕事が少しは出来る様になるには当然の年齢です。

「僕は二十七歳。美容師の子って皆んな垢抜けてるし綺麗だよね」

「そうですか?」

「今から二人で抜けない?」

「はぁ? すみません。私、数合わせで参加したので、もう帰ります」
飲んで食べて満足したから、そっと抜けようと思ってたのに……。

「茉帆ちゃん可愛いからさ。他の奴らも狙ってるし」

 もうこうなったら
「すみません。パウダールーム行ってきます」

「あ、うん」

 とトイレに行って、そのまま裏口から帰った。
 誰がお持ち帰りなんてされるもんですか。
 節操のない男なんてお断り。


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