なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

パーティー

「じゃあ、そろそろ招待客をお迎えしないといけないな。行くか」
副社長が立ち上がる。

「そうね。行きましょう」

「ああ」

「はい」

 

 パーティー会場は上品なクラシック音楽がさりげなく聴こえ、美しい花々や氷の彫刻が涼しげな空間を演出していた。

 立食ビュッフェ形式のお料理も綺麗に並べられ、飲み物を用意して振る舞うウェイターも揃っている。

 盛大なパーティーになるんだろう。



「社長は?」

「さっきの隣の部屋に居たから。もう来るんじゃないか? きょうの主役だからな」

「お母さま、とてもお綺麗だったわよ。茉帆ちゃんのお母さまにもお会い出来るの楽しみにしてたの」

「そんな……。まあお洒落ではありますけど」

「茉帆ちゃんのお母さまなのよ。お綺麗に決まってるじゃない」

「とんでもない。言い出したら聴かないマイペースな母親ですよ」

「茉帆も、そう言う母親になるのかな?」

「はっ?」

「もう。玲於奈くん。茉帆ちゃん固まってるわよ」
笑い声も可愛い本当に素敵な紗弓さん。

 すると……。
 圧倒的なオーラを放って社長ご夫妻が現れた。

「もう揃ってるか?」

「はい」

「申し訳ありません。両親は新幹線が遅れて先程ホテルにチェックインしたところです」

「そうか。茉帆さんが謝らなくても良いんだよ」

「ありがとうございます」

「茉帆ちゃん。綺麗ね。とっても良く似合うドレスと宝石だわ。玲於奈の趣味だわね」

「はい。ありがとうございます」

「茉帆はどんな物でも着こなせるからね」

「そうね。紗弓さんもとても素敵よ」

「お母さま。ありがとうございます」


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