地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 でもまあ、何はともあれミッション成功だ。

 C組を通り過ぎる頃には予想通り明人くんと勇人くんも一緒になって歩き出す。


「オイコラ久保。今日は美来、俺達《星劉》のテーブルで昼飯食うんだからな?」
「だからさっさとその手放せよ」

 食堂に着く前からこんな風について来る。

「ああ? 別に食堂着くまで掴んでたってかまわねぇだろうが」


 いや構うよ!

 歩きづらいし。


 そう突っ込みたかったけれど一応口をつぐんでおく。

 念のため周りには仲良くしてるように見られた方が良いし……。


 そうして何も言わずにいると双子と久保くんの間で口論が繰り広げられていく。


「いや、まず掴んでる必要なくね? 美来だって食堂行くんだし」

 勇人くんの呆れ交じりの言葉に明人くんも同意する。


「二階席に行くのだって、今更逃げたりしねぇだろうし……なぁ?」

「あ、うん」

 聞かれて頷く。


 というか、久保くんの様子とか見ると逃げて一階席で食べてても連れ戻されそうな気がするんだけど……。


「ほら、美来だってそう言ってる。離せよ」

 明人くんが言い募ったけれど……。


「……嫌だ」

 久保くんは掴んでいるあたしの腕を見て、少し何かを考えてからそう言った。
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