地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 森兄弟は彼女の兄が同じ薄茶の瞳だと言っていたと言った。

 司狼も実際に確認したと言っていた。


 だが、その司狼自身が彼女を何故か気にしている。

 嘘をついたのか。

 もしくは、時たま発揮するあいつの野生のカンか。


 だから、注視してみることにした。


 昼食時、三つのテーブルを日替わりで回るように伝えたときも、わざわざ近くに呼び寄せてもう一度彼女をよく見てみた。

 一見ただの地味女。


 でも、その髪質はやはり良くていわゆる(からす)の濡れ羽色というものだ。

 青みがかって艶やかな黒髪。


 それに注視してみて分かったが、思ったより身のこなしが軽い。

 無駄がない、ともいうだろうか。


 動くたびに揺れるおさげに目が行って、ふと解いたらどうなるのかと思った。

 それと、ちょっとしたいたずら心がうずいたのもあり、彼女のおさげのゴムを試しに一つ取ってみたんだ。


 ……はらりとほどけていく様は目を奪われそうなほど綺麗で、途中で止められたのが本気で惜しいと思った。

 そのうち、全て下ろしたところを見てみたいなと思う。


 触れずにはいられなくて手を伸ばし、ほどけた部分の髪を梳く。

 思った以上の触り心地に、《かぐや姫》を思い出した。
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