地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「まあ、大学生になれば嫌でも将来を見据えて家の方の仕事も手伝ったりしないとないからな」

 如月さんの話では、この学校の暴走族は特殊で普通とは違う。学校側が仕組んだ部分もあるから、この学校周辺でしか通用しないんだとか。

 そういえばしのぶにもそんな風に説明されたっけ、と今更ながらに思い出す。

「……司狼のように家とは関係ない職につこうとしているならまた話は違うだろうが……まあ、それでも交代はするだろう」

「家……」

 さっきから繰り返される“家”という言葉に、彼らが実はそれなりの会社を持つ家の御曹司だってことを思い出した。

 坂本先輩はともかく、如月さんと八神さんは跡取りというわけじゃなかったはずだけれど……それでも家とは切り離せないってことなのかな?


「ま、そういうわけで《星劉》のNO.2とNO.3の俺らどっちかが来年総長を務めるってわけ」

 あたしと如月さんの会話がひと段落したのを見て、明人くんが締めくくる。

 でもそれだけじゃないだろう、と如月さんに睨まれていた。

「お前たちは再来年総長になるべき者を指定しなきゃならないだろうが」

「げ、それもあった」

 如月さんの指摘に明人くんは嫌そうに顔をしかめる。

「俺たちのように一年のときから総長やるような世代はない方がいい。まとめきれないからな……」

 苦々しい表情で呟く如月さんに、あたしは無言で納得する。

 そうだよね。
 そのせいで二年前抗争を起こさなきゃならなくなったんだもん。

 明人くんと勇人くんもそれは思ったのか、複雑な顔をしていた。
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