囚われて、逃げられない
その後、近くの公園に向かった。
ベンチに並んで座る、二人。

「野々、今日はご馳走様。
めっちゃ美味しかった!」
「フフ…良かった!」
「帰ろうか?
明日も仕事だし!」
そう言って、立ち上がる泰氏。

「え?あ、あの……」
「え━━━?
野々……?」
引き留めようとして、咄嗟に腕を掴んでいた。

「あ、ご、ごめん!」
バッと話す、野々花。
「ううん。どうしたの?なんか、心配事?」
「あ、あのね!」
「うん」

「私!泰氏くんのことが好き!…です」
「うん、知ってるよ」
「私の…////恋人になって下さい!!!」
「……////」
泰氏を見上げ、真っ直ぐ見てはっきり言った野々花。

その真っ直ぐな目と、想いに泰氏はまた身体が昂る。

「いいの?」
「うん!」
「逃げ道、なくなるよ?」
「うん」
「束縛…しちゃうよ?」
「受け入れるよ」
「嫉妬深いよ」
「うん、不安にさせないように頑張る」
「俺、絶対放さないよ?」
「うん」
「放れないし」
「うん」
「このまま、連れ去るよ」
「うん。
………ん?」
野々花の手を握った泰氏は、引っ張り足を進めた。

「泰氏くん、どこ行くの?」
「マンション」
「あ、バー?」

そしてエレベーターに乗り込む。
55階で止まった。
「え……?
泰氏くん、バーは56階だよ」
「連れ去るって言ったよね?」
「え?」
ドアの鍵を開けた泰氏。
一度振り返り言った。
「野々、最後にもう一回だけ聞くよ?」
「え?」

「俺は、野々のこと束縛する。
嫉妬深いし、このままここに一緒に住んでもらう。
もう片時も…俺からは放れられないし、逃げられない。
野々がこの家に入ったら、もう…本当に逃げ道がなくなる」
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