囚われて、逃げられない
「フフ…そうだよね?
確かに野々のキス顔、可愛すぎるから誰にも見せたくないな!」
「ごめんね…」
「ううん。俺こそ、ワガママ言いすぎたね……」

「山道さん」
「はい」
「今日、女子会するんだけど一緒にどう?」
「え?」
「いつも課長とばっかじゃ、飽きない?」
「いや、そんなことは……」
「たまには女同士で、話そうよ~!」
それから仕事に戻ると、同僚に話しかけられた野々花。

どうしよう。
とにかく、泰氏くんに聞いてみなきゃ!
「ちょっと、待っててもらえますか?泰氏くんに聞いてみないと………」
「うん、わかった!」

「泰氏くん」
「ん?なぁに?」
「あの今日ね━━━━」
「女子会?行きたいの?」
「え?」
「聞こえてたよ?」
「うん」
「俺を一人にするの?」
「え?」
「野々がいないと、俺…死んじゃうよ?」
「泰氏くん…」
「息ができなくなって、頭がおかしくなって、狂って壊れるよ?」
泰氏は机に頬杖をついて、真っ直ぐ野々花を見据えて言った。

「わかった。断るね」
「うん、ありがと」

「そう…やっぱ、そうだよね…」
「ごめんなさい!せっかく誘ってくれたのに……」
同僚に断りをいれる、野々花。
「たぶん無理だろうねって言ってたんだけど、ダメ元で聞いてみたの。
スッゴく愛されてるんだね!山道さん」
「はい」
「でも、辛くない?」
「え?」
「課長の束縛」
「あ、いえ…わかっててお付き合いしてるので……」
「そう…」
「ほら、あんま言うと私達まで……」
「あっ、うん。そうだよね……」

「え?なんですか?」
「へ?う、ううん…何でもないよ!」
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