囚われて、逃げられない
「へ?た、泰氏くん…?」
「ん?」
「な、なんか…怖い発言が、ありましたよ…?」
「フフ…そうですか?」
「そうだよ…なんか、怖いよ…」
俯き、呟く野々花。

「ごめんね…(笑)
もう言わないから、顔上げて?」
そんな野々花の頭を撫でて、顎を持つ泰氏。

頭を上げさせると、目を潤ませた野々花がいた。
「可愛い…」
そう言って、泰氏の顔が近づき口唇が重なった。

「んんっ…」
泰氏の癖なのか、いつも野々花の口唇を食べるようにハムッと噛むのだ。
「フフ…野々の口唇、美味しい…」
「そうかな…?」
「うん…美味しいよ……!」
「泰氏くんの口唇は…うーん、わかんない……」
野々花の言葉に、フフ…と微笑んでまた口唇を重ねた泰氏だった。

紅茶をゆっくり飲んでいる野々花と、ワイン片手に野々花の腰を抱き、ただひたすら野々花を見つめる泰氏。
「泰氏くん…」
「ん?」
「あんま見ないで?恥ずかしいよ…いつも、ジッと見られてると」
「うーん、無理だよ。野々がいつも視界に入ってないと不安で息ができないんだから」
「心配しなくても、ずっと傍にいるよ?」
「わかってるよ。でもね、日に日に野々に惚れてるからその分不安が募るんだ…」

持っていた紅茶をテーブルに置き、泰氏に目線を合わせた。
「ちゃんと泰氏くんの瞳に私が映ってるよ?」
「うん…野々の瞳にも、俺が映ってる」
「……………うー」
しばらく見つめ合っていると、野々花が俯いた。

「野々?」
「恥ずかしい////泰氏くんがカッコよすぎて…」
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