さまよう

 少女の力はとても大きかった。日々、毎日、力を増していった。

 水道水が溢れ出てくるのが楽しくて、こっそり遊んでいたのがバレて怒られたのは数えきれない。

 一度もっと長い時間止めたらどうなるのかという好奇心が抑えられなくなり、今までより長く洗面台の水を止めてみたこともある。

 勢いよく噴き出す水に耐え切れず洗面台は爆発。その際に飛び散った蛇口が頭に飛んできて大けがをした。その日から好奇心で力を使うのをやめた。

 今回のトラックはそんな比ではない。

 棚の上から大きなものが落ちてきたことがあった。その物の時を止めて真下にいた父親に避けて!と言ったことがある。父親は無事だったが床は直後にめり込んだ。

 今回は床ではない。もっと固いコンクリートの塊や民家の一角がみんなめり込んだ。強い衝撃を受けたトラックはどうなったのかなんて怖くて見ることが出来ない。

 小学生でもわかった。これは自分が起こしたのだ。

 これは許されないことだ。これは自分のせいだ。



「あああああああああああああああああ………!!!!」



 地面にへばりつくようにうずくまった少女はしゃがれた叫び声をあげて何度も何度も叫んだ。

 次第に声も出なくなり、脳がしびれ始めて苦しくなる。



 それから後のことは覚えていない。
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