さまよう


 気持ちを落ち着かせてから二人は買い物を再開した。少し混乱した頭ではまとまった意見など出てこず、母親に助けを求めた結果質の良いバスタオルのセットを選んだ。

 色や形など個人の趣味が絡む物より長持ちする日用品のほうが無難だろうとのことだった。

 簡単なメッセージとともに送った数日後、それが届いたのか翔のスマートフォンに亮一からメッセージが届いた。

〈ありがとうな、有難く使わせてもらうよ〉

 その文字を何度も繰り返し読みながら翔は迷っていた。

「僕、亮くんに聞きたいことがある」

 翼は手早く自分のスマートフォンを操作しながら亮一へのメッセージを打ち込む。

〈亮くんは僕たちを見た時、驚かなかった?〉

 翔もまた同じ質問を亮一にしようかと悩んでいたのだ。

 亮一と二人が出会ったのは何年前だっただろうか。何気ない日常のちょっとした出会いだった。
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