七夕の夜、二人で見上げた星空
「どうして知ってるの……」
「まあね、いちおう学級委員長だし。先生に色々と頼まれてるのよ」
「じゃあ、私が早瀬さんより年上で、瀬戸くんと同級生だってことも……」
「先生から聞いてるわよ」
「学校を退学してることも?」
「もちろん」
「嫌がらせを受けて、不登校だったことも……」
「そうだったらしいわね」
「事情をぜんぶ知ってて、クラスメイトに黙っててくれたの……」
「わたし、口は堅いから安心してね。先生は授業以外のことを把握できないし、そういうことかな」
「だから……いつも助けてくれたんですね……」
「わたしでも、誰かの役にたてるなら嬉しいのよ。宇佐先輩……」
思いもしなかった言葉を聞いて、感情がこみ上げ涙が溢れ出てくる。
頬を伝い、流れ落ちる涙が止まらないよ。
いつも一人ぼっちの寂しい学校生活だったけど、陰で支えてくれる人がいたなんて。
感謝の言葉が思いつかないほど嬉しくて、手で拭っても涙が流れてくる。
「私の過去ばかりごめんなさい、早瀬さんの話を聞きに来たんだった」
涙声のまま口を開く私に向けて、早瀬さんは言う。
「地元で暴走族だったころの、瀬戸 竜也を知りたいの。聞かせてくれる?」