七夕の夜、二人で見上げた星空

 月曜日の朝、夏服移行期間の初日。


 私は真新しい半袖のセーラーに袖を通し、鏡を見つめる。

 美容師さんに教わったメイクをして、髪をポニーテールに結ぶ。

 全身を見ることができる大きな鏡の前に立ち、スカートの裾をフワリとゆらしながら一回転。


 高校を退学して気が滅入ってた去年の今頃とは大違い、顔を上げて前を見る。

 夏らしい清潔感のある外見のせいで、ちょっと涼しそうに見えるのは気のせいかな……


「いってきま~す!」


 元気に家を飛び出して学校へ向かう。

 通学時間は長いけど、最近は慣れてきたので問題はない。

 ちょっと早起きしてるせいで、時間に余裕を持って行動できる。


 いつも通学時間に乗ってるバスで、瀬戸くんの反応を気にしていた。

 地味子と呼ばれていたけど、夏服に着替え美容室に行っただけで印象が激変してる。

 ちょっと引きこもってたせいで、手足が細くなってるのは体重が減ってしまったからだろう。


 明るい気分でバスを降りた途端、不安が押し寄せてきた。

 通学してる同じ高校の生徒を見ると、まだ誰も夏服に着替えてない。

 真新しい半袖セーラーを着た私は浮いた存在に見える。



 不安は的中、教室で夏服を着てるのは私だけだった……




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