七夕の夜、二人で見上げた星空
3.怖くて声が出ない

 翌朝、学校に登校してきた私は、生徒玄関でカーストの子たちと出くわしてしまった。


「宇佐ぴょん、おっはぁ~!」


「おはよう、ございます……」


 この子たちが、すごく苦手で怖い私は敬語で挨拶してしまう。

 私の名前が、宇佐 洋子(うさ ようこ)なんだけど、いきなり「宇佐ぴょん」と言われて困惑してる。

 親しみを込めてる訳ではなく、ふざけて言ってるのには間違いない。


 無視したら逆恨みされてしまうから、適当に挨拶だけして教室にいこうと考えた。

 外履きのローファーを脱いで手に持ち、上履きを取り出そうと靴箱を見ると……


「ない……」


 私の上履きが見当たらない!


「うそ……」


 以前のトラウマがよみがえってきて、胸がギュッと締め付けられる。

 またスリッパ!

 あの時の光景が頭をよぎった……



 ――その時



「あれれれぇ~、靴箱の一番うえに、置いてある上履きは誰のかなぁ~!」




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