私の婚約者には好きな人がいる
「皆さん、出席されたい方がたくさんいらっしゃるみたいですし、私、頑張ってやらせていただきます」

「そう。かんばってね」

「こんなたくさん」

「いいんです。皆さん、楽しんできてください」

私は気にしないふりをして、作業にとりかかった。
なんとか大急ぎで頑張ってみたけれど、やっぱり終業時間を過ぎても終わらなかった。

「皆、行くわよ」

中井さんはみんなに声をかけて、フロアから颯爽と出て行った。

「ごめんね。高辻さん」

「いいえ。私が引き受けた仕事ですから、気にしないで下さい」

閑井さんは幹事を任され、もういなかった。
誰もいなくなったせいか、広いフロアにはコピー機の音が大きく感じた。
黙々とコピーをして、終わったものをずらりと並べた。
後はこれを綴じていけば、完成。

「やっとコピーが終わったわ。これだけあると、なんとなく達成感があるわね」

ふう、と息を吐いた。
足音が響いてドアが開いた。
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