私の婚約者には好きな人がいる
最後まできちんと仕事を終わらせ、家まで送ってくれた。
真面目な方だと思う。

「ふん」

庇ったのが、面白くなかったのか、不機嫌そうに恭士お兄様は先に歩いて家の中へ入ってしまった。
真っ暗な夜空を見上げると、飛行機が飛んでいて、飛行機の赤いライトがチカチカと光っているのが見えた。
もしかして、惟月さんは中井さんと別れたの?
海外に行くなら、別れると言っていたから、それは考えられないことじゃない。
でも、そんな簡単に諦められるもの?
私は自分が諦めきれなかったから、潔く諦められる気持ちが理解できずにいた。
諦められるものなら、こんなに苦しまずにすんだだろうから―――



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