私の婚約者には好きな人がいる
トラブル
惟月(いつき)さんの秘書になってから、お昼休みは毎日二人でお弁当を食べていた。
他愛ない会話をして惟月さんが早く帰れる日は家まで送ってもらい、土曜日は二人で出掛ける日々が続き、私にしたら、二人の関係は大進歩だと思っているのに恭士(きょうじ)お兄様は口にはださないけれど、不満そうだった。
どうすれば、恭士お兄様が惟月さんを認めてくれるかが、悩みといえば、悩みかもしれない。
そんなことを考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「はい」

ドアを開けると、そこには書類を持った閑井さんがいた。

高辻(たかつじ)さん、元気そうですね」

閑井(しずい)さん、お久しぶりです」

同じ会社とはいえ、フロアが違うとなかなか会えない。
顔を見たら、挨拶はしていたけれど、ゆっくり話す時間はなかった。
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