お嬢様は恋したい!
「おい、いつまでしゃべっているんだ。時間だぞ。」

鈴木主任が不機嫌そうに、こちらをにらんでいた。

「ヤバっ。高橋さん、ランチでね。」

「はい。」

慌てて自分の席に着く。

「高橋さん、今日はN社に行くから、資料用意して。」

「あ、はい。出来ています。あちらに渡すものがこちらの封筒に。主任の確認用に同じものを共有フォルダの中に作った主任用フォルダに入れましたので、そちらを確認して修正があれば差し替えます。」

「ん。サンキュ。」

たぶんすぐやれって言いたかったんだろうけど、金曜日に主任の月曜日のスケジュール見て作っておいたんだもんね。

フォルダを開けて、サッと確認すると安定の仏頂面で頷いていたから、大丈夫だろう。

日曜日のあの主任だったら、一緒に仕事をするのは、こちらの精神衛生上なかなか厳しいと思うけど、仕事中は鈴木主任は安定の人なので助かった。

「それじゃ、行ってくる。一応、直帰になると思うので、急ぎの案件があれば連絡してくれ。」

「いってらっしゃい。」

見送って、さっきは助かったと思ったくせに、素っ気ない態度にちょっと寂しく思う私はわがままだよね。

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