仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~
「風雅の体温が熱くてね」
「ごめんごめん、じゃ、ちょっと隙間あけたげるね」

身体と身体の間に隙間を作り、腕枕の状態にしてくる風雅。
台湾に行っていたひと月、私は確かにこの腕がないことに不足を覚えた。思ったより風雅に対して感情が動く自分。今は家族みたいにしか思えない風雅を、いつか恋人として夫として受け入れたくなるのだろうか。

「希帆」
「なによ」

背を向けた格好から、向き直るとキスをされた。
軽く重ねるだけの優しいキスだ。凶暴な面もあるし、危なっかしいところもある風雅が、私に対しては初日の夜以来ずっと紳士である。おそらくはこれが彼なりの誠意の示し方なのだと思う。

唇を離してふふふと子どもみたいに笑う風雅に、私は自分からキスをした。
途端に風雅が驚いた顔になる。

「希帆、これは子作り解禁の……」
「違うから。いつも風雅からするから、私だってできるわよってこと」
「ええ、それでもめちゃくちゃ嬉しい……」

素直にふにゃふにゃ笑う風雅を見ていると温かい気持ちになった。風雅は私のことが好き。私は風雅が大事。
これはこれで幸せな構図なのかもしれない。

そうだ。急ぐ必要はない。
風雅と一生一緒にいる覚悟はあるのだ。だから、私のペースで彼に向き合っていこう。

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