追体験アプリ
「その後なにが起こった?」


「その後? 確か真純たちがチョークを食べ始めて病院に……」


多美子はそこまで言って目を見開いた。


私は笑顔で頷く。


「そうだよ。私と同じことが起こったんだよ」


「それってまさか、このアプリのせい?」


「もちろん。じゃなきゃあんなおかしなこと起こるはずがないよね?」


多美子は目を見開いてアプリを見つめた。


信じられない気持ちは私もわかる。


私はこのアプリがダンロードされてから今までに起こってきたことを全部多美子に話して聞かせた。


それはとても長い時間がかかったけれど、多美子は真剣に最後まで聞いてくれた。


「全部、このアプリが復讐してくれたってこと?」


「そうだよ。だから多美子もこれをダウンロードすればあいつらにやり返すことができる!」


「そんなにうまくいくのかな?」


多美子はまだ自信がなさそうだ。


自分もイジメられていたからよくわかる。


毎日のように悪口を言われて罵倒されていたら、どんどん自信がそがれていくのだ。


自分の中のほんの一部しか否定されていないとわかっていても、悪口は全身に広がっていって自分のすべてを否定し始めてしまう。
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