追体験アプリ
まだお腹も出ていないしヒゲもキレイに剃られていて清潔感がある。


その容姿を見た私はホッと胸をなでおろした。


「いくら?」


突然の質問に戸惑ったが、三本の指を立てて返事をすることができた。


これは私の体の値段を質問され、三万円だと答えたことと同じ意味になる。


男性は私の体を下から上まで舐め回すように見つめた後、頷いた。


これで交渉成立というわけだ。


これで数時間後には三万円を手に入れているのだからとても簡単な稼ぎ方だった。


普通の彼氏に飽きたみんながやりたがるのもわかる気がした。


男と並んで歩いているとすぐにホテル街に出る。


そこには私達と同じくらい年の差のある男女が顔を伏せるようにして歩いている。


みんな私達と同じことをしようとしているのか、それともしてきた後なのかもしれない。


「どこがいい?」


男性に聞かれてもホテルはよくわからなくて「どこでもいい」と返事をした。


どこのホテルもギラギラとした派手な看板が外観をしていて目を引きやすい。


中には遊園地やお城をモチーフにしているホテルもあるみたいだ。


あまり異質な場所は嫌なだ。


と考えていると男性は一番地味なホテルへと足を向けた。


ご休憩2時間4〇〇〇円。


ご宿泊20時から翌9時まで7000円。


そんな看板を横目に見ながらホテルの中へと入っていく。
< 132 / 170 >

この作品をシェア

pagetop