粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<上条ミイヤのマンション・ミイヤの部屋・翌朝・7時>

ミイヤはいつもの通り、朝ご飯の準備を始めた。

コーヒーとトーストで、簡単に済ませる。

食費節約のためにお弁当も作る。
9時には、
模試の試験監督のバイトで、出勤しなくてはならない。

7時すぎて寝室のドアが開いた。

加賀城がミイヤの女物の浴衣を
着て、
しかも前がはだけて立っている。

「ここ・どこ?・・・」
熱のせいか、目が潤み、ぼーっとしている。

眼鏡がないから、よく見えないのもあるのだろう。

ミイヤはあせった。
「加賀城さん、あのね、
ここわかりますか?」

「うん、ゴミ出しで文句言ってきたおばさんち」
「はぁ?」

ミイヤが怒りで赤くなった。
私はまだ、おばさんではないっ!

それに、
浴衣がはだけているので、
赤いいちごの柄のボクサーパンツも目に入ってしまった。

粗大ゴミの彼女が選んだものなのか・・

すぐに目をそらし、
次に言うべき言葉を探した。

加賀城が不思議そうな顔をして
周囲を見回した。
「・・ここは世界が違うな・・・
寝る」

そのまま寝室に戻ってしまった。
「あのね!ちょっと・・」

管理組合の役員として、
人道的な超法規的手段なのだ。
これは・・・

一生懸命自分に言い聞かせた。
「世界が違うって・・
なんなのよ・・わけがわからない!!」

< 17 / 57 >

この作品をシェア

pagetop