粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)

粗大ごみと花火大会・49-53ページ

<花火大会・18時>

ヒューーーー  ドーン・・・・・

大きな花火が上がり、大輪の火花が色とりどりに飛び散る。

ミイヤの目が
上空の花火に注意が向けられた時に、
加賀城はミイヤの手首をつかんで引き寄せた。

ストン・・

そのままミイヤは、
加賀城の膝の上に座る態勢になってしまった。

バックハグ。

加賀城がすぐに腕を回して、ミイヤをホールドしてしまった。

「加賀城さん・・?
これはよくないです・・!」

ミイヤはすぐに体を離そうとしたが、
加賀城の腕はそれを許さなかった。

まるで人形を抱きしめる子どものように、
ミイヤは抱きしめられていた。

この感じはどこかで・・・

加賀城の顔が見えない・・

ミイヤの首筋に埋めるようつけられている。

小さく、つぶやくように、
だが、その声は耳元で響いた。

「俺を欲しいと・・言って・・・」

「あのね・・加賀城さん・・!」

ミイヤの体に緊張が走った。

「そうしたら・・ネコをあげるから」
加賀城の腕に力が入った。

「キスして・・
してくれるまで離さない」

なんか・・これって前にあったような・・・

ミイヤは思い出そうとしていたが・・無理だった。

とにかくこの態勢を、何とかしなければならない。

ミイヤは子どもを諭す(さとす)ように、ゆっくりと言葉を選びつつ言った。

「あのね、
私はあなたより7つ年上で・・
あなたは私の事、
おばさんって言ったでしょう・?」

私は恋愛対象でないから・・・
あなたはまだ若いから・・

失恋したばかりで・・
きっと寂しいだけだから・・・

ミイヤはうつむいて、
次に何を言うべきか、

パニックになりそうな頭で、言葉を探していた。
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