粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<花火大会・40分>

加賀城は片手を離して、ミイヤの傷をそって指でなぞった。

「痛い・・?」
「痛くない・・」

ミイヤは嗚咽(おえつ)と共に答える。

加賀城はミイヤの腕を持ち上げて、その傷跡に自分の唇をあてた。

「痛い・・?」
ミイヤは首を横に振った。

「・・もう・・離して・・」

加賀城はゆっくりとミイヤの傷をなめた。
「痛い・・?」

ミイヤは右手で加賀城の頭にそっと触れた。

「お願い・・もう・・無理だから・・私・・壊れてしまう・・よ」

「やだ」

加賀城は、ミイヤの手をしっかり押さえた。

ミイヤはしゃくりあげながら言った。

「弟が・・あなたと同じ年なの・・死んだの・・私のせいで・・」

この<人の女>の絶望と悲しみと苦しみが、
瞑王の虚無を埋めていく。

ミイヤは漂流する流木につかまる
遭難者のように、
強く加賀城の腕をつかんだ。

そして加賀城の腕の中で、
全ての苦しみを吐き出すように泣いていた。

鎮魂・・・
その死者を悼む涙は、すべての感情を浄化する・・・

死者の魂を鎮めるだろう

花火が次々と上がり、
美しい大輪の花を空中に咲かしていく。

加賀城は泣いているミイヤを
抱きしめながら、花火を見ていた。

美しく、はかない。

あの座敷童もみているだろうか・・・・
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