大切なあなたへ

客は身体を拭きながら、店の中を見回していた。


「すみません、ご迷惑をおかけして…。
朝、天気予報で雨って言ってなかったので、傘は持たないで出かけてしまって。
さっきまでこの近くで会議をしてたんです。
外に出たらこの雨で」


『気にしないで下さい。
この雨のおかげでお店も暇なので。
あっ、身体冷えましたよね。
今、コーヒーでも入れるので座って下さい』


志穂はそう言うと奥に入りコーヒーを入れる


客は頭を下げ、カウンターの横のイスに座った。


まもなく、志穂がコーヒーを持って来た。


『はい、どうぞ。コーヒーでよかったかな』


「ありがとうございます。コーヒー好きです」


客はコーヒーを受け取り、すぐに口にする。

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