大切なあなたへ

一也が店に入って来て、志穂が手を上げると、
一也が表情一つ変えずに、テーブルに来た


「遅くなって悪かった」


と一也は言ってイスに座ったが、いつもの一也とは違い、
やはり元気がなかった…。


”こうゆう時こそ、私が明るくしなくちゃね”


『お疲れ、一也はビールでいい』


一也は何も言わずにうなづき、志穂はビールを二つ注文する。


『随分、元気ないんじゃないの。
一也らしくないじゃん』

と志穂はいつもと変わらず、一也に話しかけたが、一也の顔は元気がない…。


ビールが来て、乾杯をして、志穂はジョッキの半分ほどを一気に呑んだ。


『やっぱ仕事の後のビールは旨い!
一也、お腹空いてるでしょ。何食べる?
私は刺し盛りとポテトに枝豆だね』

と明るく振舞う志穂。

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