大切なあなたへ

志穂が高校を卒業した後に、入学して来た後輩だが、
この店の噂を聞いて、来てくれる様になった二人。


『いらっしゃい、別に何でもないよ。
あっ、この間頼まれてたやつ来てるよ』


何でもないと言いながら、そうじゃないオーラが漂っていた。


どんよりとしたおもーいオーラが…。


そんな志穂に追い討ちをかける、後輩の一言。


「先輩、もしかして、彼氏と別れちゃったとか…」


見事に地雷踏みました。


『大きなお世話だっ!ほっとけっ!』


なんて、分かりやすい性格なのでしょう。


志穂の余りの恐ろしい顔に、後輩は恐怖の余り、
品物を受け取ると、さっさと帰って行った。


志穂は、今日一日、ずっと不機嫌で、全く仕事にならない状態で、
それを分かっているのか、客は後輩二人だけだった。

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