転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 ドレス姿のメリノがクスクスと笑い、少し離れたところでスティフの父親と酒を飲み交わしているベンを見やる。

「スーリア。今日、残念だったわね」
「あ、……うん」

 小さな声で囁かれ、スーリアは曖昧に笑った。
今日、本来であればスティフの上司であるアルフォークも挙式とパーティーに参加する筈だった。しかし、今朝方、空間の歪みが発生したため、急遽欠席となったのだ。
 けれど、スーリアは実を言うとホッとしていた。会うのが怖い。もし会って、本当にさよならで、自分とは二度と関わることはないとアルフォークに面と向かって宣言されたら?
 きっと自分は耐えられない。
 それが怖くて、アルフォークから毎日のように届く手紙も開けられずにいた。

「いつでも会えるから平気よ」
「そう? それならいいのだけど」

 強がって言った言葉に、メリノが安心したように微笑む。スーリアは胸に鋭い痛みを感じたが、それに気付かないふりをしてメリノに微笑み返した。
 
 
 

 

< 311 / 386 >

この作品をシェア

pagetop